雑記

親愛なる○○に捧げる

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暑中お見舞い申し上げます

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来週、第7話の扉をアップして、そこからゆっくり更新していきます。
暑いですが、漫画を描く人、OFFの生活ある人、みなさん頑張ってください。


シエスタ「博士、僕には実戦経験が必要ではないでしょうか?」
ウイング「どうしてそれを聞くのかしら?」
シエスタ「どうしてって…火砲とはどのような点が重要か知りたいからです。僕は現在、砲身とその材料の吟味に多くの時間を費やしています。」
ウイング「砲身チーム主任なんだから、それでいいんじゃない?」
シエスタ「…それはそうですが…しかし、火砲とは単なる円筒状の鋼鉄ではありません。砲弾があり、砲架や砲台があります。それらのものも新型火砲の性能に大きな影響を与えるのではありませんか?」
ウイング「そうね。」
シエスタ「現在それらを統括し、研究所が製作する火砲のすべてを熟知しているのは、博士お一人です。アジオ君からはそう聞いています。」
ウイング「その私がキミを砲身チームのトップに置き、遊星の役割を与える判断を下したんだから、それで良いんじゃない?」

シエスタ「…僕はすべてを学びたい。」
ウイング(この子、私を信用しとらんな…)
シエスタ「火砲というのは、きっとすべてを学ばないと優れたものを作れないと思うのです。その使い方、実際の撃ち方もです。火砲とは、性能以前にまず、敵を撃つものです。優れた砲学者は、きっと博士のように砲を撃つことにも長けているはずです。僕は多くを学んだ、けど全然足りないと思うんです。今すぐ戦争が起こればいい、そうすれば僕は実戦経験を得て、優れた火砲を生み出せるはずなんだ」
ウイング「……」


ウイング「うちの研究所は現在、砲身・砲弾・砲架が各チームに分かれ、私の統括チームが細部の調整をとるスタイルをとってるわよね。このメリットは分かる?」
シエスタ「はい、それは認めます。僕はかつてジパングのソーセージ工場を見学をしたことがあります。そこでは、肉を運ぶ職人、肉を細かく切る職人、肉をこねる職人、肉を腸詰めにする職人、燻製をする職人などに分かれていました。これらの職人たちは、自分の職分以外のことを一切行いません。」
ウイング「うんうん」
シエスタ「例えば肉を切る職人の中には、僕と同じ年の職人もいた。彼は、肉をこねる職人にとってちょうどいい部分を、ちょうどいいサイズに肉を切り刻むことにとても熟練していた。だけど、ロースとかサーロインとか、誰でも知ってるような肉の部位の名前を何一つ知らなかった。」
ウイング「彼は工場を辞めてお肉屋さんになることは出来ないわけね。しかし例えば、お肉屋さんがソーセージを一人で作る量と、ソーセージ工場の職人一人当たりのソーセージ生産量はどうかしら。」
シエスタ「これはまったく比べ物になりませんでした。すべての工程に熟練したソーセージ職人が作ることの出来るソーセージの数は、一人一日2~300本です。一方、ソーセージ工場では11歳の少年が3000本以上のソーセージを作ったことになっています。…もちろん、ソーセージの大小、長期熟成において…」
ウイング「その辺は別に良いよ。つまり、生産性は分業によってそれほどの差が出るってわけ。」

シエスタ「…しかし博士…。これは単純労働をもってする工程にあって言えることで、可能な限りの創意工夫を凝らす研究においては…」
ウイング「分業制が必ずしも良いとは限らない?」
シエスタ「技術というのは、つねに革新し続けないといけないものです。人の手によって創られたものは、作られた瞬間から陳腐化が始まるからです。」
ウイング「なるほど、その通り」
シエスタ「知識労働には習慣性があるものです、一度覚えた思考法や発想はわすれません。よく働く人はどこへ行っても働くし、怠け者はどこにいっても怠け者なのはこのためです。しかし、これも知識労働の特徴ですが、同じことをし続けると飽きてしまうのです。そのため、定期的に休んだり、仕事内容を変更していかないと、単純労働より能率が落ちます。」

ウイング「そういうこと、大人は恥ずかしがってあまり言わないんだけどなぁ…。じゃあどうすれば良いかだけど、仕事に飽きたり、煮詰まってきた時は、こうして外歩いたり、人と話したりすればいいのよ。
シエスタ「そんな!!サボれと言うんですか!それこそ恥ずかしいことでしょ!」
ウイング「そこをサボりにならないように工夫するの。」
シエスタ「…工夫?」
ウイング「昔、ワットという人がいた。産業革命のころね。」
シエスタ「蒸気機関を発明した人ですね」

ウイング「最初のころの蒸気機関では、ピストンが上下するのにつれて、ボイラーとシリンダーとの間の通路を、交互に開け閉めしていた。ワットはこのために、いつも一人の少年を雇い、バルブのハンドルを回させていたの。少年は毎日10秒おきにバルブを開け、閉める仕事をしていた。キミだったらどうする?」
シエスタ「たまらない、つまんない仕事ですけど、賃金が発生してるんならやらなきゃしょうがない」
ウイング「少年も最初はそう思っていた。だけど、2日目にはもう飽きてしまった。」
シエスタ「…昔の子供は根性が無いんだな」
ウイング「少年は遊びに行きたかったので、ひとつ工夫を凝らした。バルブのハンドルを蒸気機関のほかの部分に紐でくくりつけ、ハンドルが勝手に回るようにして外へ遊びに行ったのよ。機械を見に来たワットはそれを見て、少年を呼びつけた。蒸気機関という機械が発明されて以来、最大の改良のひとつが行われたことについて、少年に謝辞を述べるためにね。」
シエスタ「少年は遊んでただけなのに、大きな発見をしたんですね。長年、蒸気機関を研究をしてきたワットではなく、昨日その機械の操作を請け負った少年の、楽をしようという思いが機械を完成させたんだ」
ウイング「その通り。サボることはいいこと。」
シエスタ「なるほど。」

ウイング「そしてシエスタ、もうひとつ重要なことがある。蒸気機関に限らず、火砲も含めて機械と呼べるわ。産業革命以来、機械は常に改良されてきた。しかし機械における改良の全てが、それらの機械を使う必要を持ったものの発明であったとは限らない。」
シエスタ「僕に実戦経験は必要ない…?」
ウイング「私たちの仕事は兵隊さんの仕事とは違うの。私は…私は違うと思いたいの。区別して良いと思うの。私たちは研究する、それが仕事なのは言うまでも無い。一方、例えば私たちはソーセージや肉を買う。肉屋さんは肉を切り、農家が肉を提供しているわ。昔は、肉屋さんも無かったころは、全てを家畜を育てるところから最終的に料理するところまで、全て農家でやっていた。今はそれぞれに分かれ、そうやって世界が成り立っているのよ。では、私たちがやってる仕事はなんだろう。」
シエスタ「…」
ウイング「つまり、私たちの仕事はなにかをおこなうことではない、深く観察し、発見することなのよ。それが求められ、分割された。それは、かつて独立の仕事ではなく、一人の人間が持つ多くの仕事の一部分に過ぎなかった。兵隊は、そこから分割された砲兵は、砲弾がどこへ飛んでいくのか、どうやって遠くまで飛ばせるか撃ちながら考えていた。そのことを忘れるわけではない、だけどその思索は今、私たちが社会の中のある分野のひとつとして行っている…ほかの全ての仕事と同じように、ね。」

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