雑記

親愛なる○○に捧げる

鉄と未来の自動車

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最近ご無沙汰の鉄の技術の話。

「鉄」と言うのは実に優れた素材で、市場でも新日鉄株のはこの暴落の中(今日は一服)過去最高値を更新してるし、最近うちの地元のほうで車止め盗まれたりしてるんですけどね。これって中国にでも送られるのかな?

「鉄は国家なり」ってなことで、現状でも日本の総合エネルギー消費の一割が鉄のために使われてるし、工業出荷品の2割が鉄製品です。もっとこう、新日鉄株だけじゃなく、「鉄」そのものに注目して欲しい。

ということでまたM74で「鉄を錬るということ」の第4編をお送りする作者マルメンとしては、これを読んでくれて、あとちょっと鉄に着目してみようと思ってる人に、これだけは本当に聞いて欲しいんですね。

それは、「他の産業素材にくらべて、鉄のどこが優れているのか」ということです。

鉄と言うと、たとえば「日本刀」や「玉鋼」みたいな、そのたぐいなき強度から、「鉄人」とか「鉄腕」とか強そうなイメージありますし、他にも加工のしやすさとか、強磁性とか、もう様々な有効性や銅・青銅やニッケル、アルミなんかの素材と比べての優位性はもちろんあるんです。

しかしながら、鉄という素材のもっとも優れている点は、そのコストの安さにあるのです。


ということで、最近経済産業省の肝いりで、新日鉄でプロジェクトが動いてるらしいです。「0.1mmの薄さのステンレス鋼版の圧延加工技術の開発」なんですけど、夢のある話。

自動車の車種の中に「燃料電池車」というのがありまして、ガソリンの代わりに水素を動力にして、最終的に排ガスがゼロで、水しか出さない環境にやさしい車。これを作るのに必要なものは、「燃料電池」です。

この燃料電池というのは水(H2O)の電気分解の逆をやります。燃料極と空気極の間に固体高分子膜というのをはさんで、水素イオンを移動させて発電するんですが、あと燃料と空気を隔てる隔壁として「セパレータ」という部品が必要です。このセパレータ、現在は1枚数万円もする炭素素材で作ってます。ものすごく微妙な歪曲面や凸凹の面が必要で、今はこれ以外どうしようもないらしい。

これを、0.1mmステンレス鋼板で作るための技術が開発中らしいです。このためには、高精度の圧延ロール機から開発するんですけどね。というか、技術的にはほとんど確立してて、あとは作るだけらしい。いやでも、これが出来たら1台1億円を超える燃料電池車がものすごく安くなるかもしれない。繰り返しますが、鉄のほかの素材に対する比較優位性は、なによりもそのコストの安さにあるからです。炭素樹脂→ステンレスですよ。どのくらい安くなるか、これ。

燃料電池って、車だけじゃないしね? これがお求め安いお値段で、大量に生産されるようになったら、環境にも良いし、その技術は簡単には中国・韓国あたりに真似できないだろうから、日本の未来は安泰ですよ。頑張れ新日鉄。