雑記

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「荊の城」

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シリーズ書評。スジと感想です。ネタバレなんで、反転。

タイトル…「荊の城」上・下
著者・訳者…サラ・ウォーターズ・中村有希

19世紀半ばのロンドン。17歳になる少女スウは、下町でスリを生業として暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師が、ある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうと言うのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウは迷いながらも、話にのることにするのだが…  CWAヒストリカル・ダガー受賞作者の第2弾。2004年度宝島社「このミステリーがすごい」海外編第1位!


以下ネタバレ含む感想

感想としては結構満足度高いです。☆☆☆☆★。
上下巻2000円のこの本は3部構成になっていますが、目次にこのことは書いていません。第1部、スウ視点。第2部、モード視点。第3部、またスウ視点です。とりあえず、第1部の値段が1500円です。2部が400円。他はスジを追ってただけになってきますね。でもそれくらい第1部がよかったです。

第1部で、ブライア城の令嬢モードを結婚詐欺にかけ、財産を奪ったあげく精神病院へ放り込むという、鬼畜の計画を立てたスウと詐欺師の“紳士”ですが、実際計画に入ると、なんとスウとモードお嬢さんが百合に墜ちてしまいます。

モードは“紳士”いわく、「気が狂ってる」ということだった。しかしスウは、「この娘は気が狂ってるというより、楽しいことを何も知らずに育てられてしまったんだ」と気づきます。モードが卵を嫌いなのにずっと前のメイドに食べさせられていたことに気付いたり、カードゲームや恋占いを教えたりします。モードは伯父が神経質なせいで、いつも手袋をし、美しくて柔らかい手をしています。


ここまでは良かったんですけどね…


話が怪しくなるのは、モードが歯が痛いといった時に、銀のゆびぬきで尖った歯を削ってやるシーンあたりからです。イマ○チオみたいなシーンに仕上がってますw
モードは寂しがりなので、夜は一緒のベッドに寝ます。これは当初、健全な意味でです。だけど、息遣いを聞いたり、触れようとして止めたりと、だんだん百合の芽が…

そこへついに紳士がやってきます。すでにモードは紳士にぞっこんいかれています。急にそっけなくなるので寂しいスウ。絵の授業の合間に、紳士はモードにキスしたり触ったりします。やりたい放題っていうか、まあそうでもないんですけど。残酷です。スウ嫉妬。紳士は貞操観念が出来た人なんで、一線越えないけど、しかしこれは寝取られといって、過言ではない。

ついに紳士がモードにプロポーズ、計画も大詰めですがスウは気が気じゃありません。モードは自分を信頼し、プロポーズにどうしたらいいのか相談をもちかけます。「そのプロポーズを受け入れたら、財産を自分と紳士に盗まれ、モードは精神病院へ…」


このあたりの葛藤がものすごく面白かったです。百合属性でかなり気落ちした私ですが、かなり熱いシーン。…悩むスウですが、心を鬼にし、結婚を受け入れて駆け落ちしなさい、とアドバイス。これでモードは破滅です。

そして、モードはスウに、「初夜のやり方を私に教えて」と…


…これは、ねぇ。
「腐」というやつかも知れませんね。
上がったり下がったりなんですよ、テンションが。
ただ、ここまで来るとなんかこの百合ッ気もなぜか受け入れて
読んでしまいました。


しかし、どんでん返しで、精神病院に入れられるのは、なんとスウになります。モードは結婚を後悔して本当に気が狂ってしまったふりをして、ボロを着たり髪を細工したり、スウに宝石類をつけさせるなど巧妙にスウへ罠を仕掛けていたのでした。モードと紳士は実はグルなのでした。スウは屈強な看護婦に取り押さえられ、モードと紳士は逃げてしまいます。

ここで第1部終了。
これは燃えました。だってもうイメージ優しいお嬢様だったモードが、相思相愛だと思い込んで罪悪感にさいなまれるスウに「ああ、お可哀想な奥様!」とかいって嵌めるんですから。この裏切り!じつに素晴らしかったです。


ところがねー…、第2部と第3部がグダグダダラダラしてまして、まあとりあえずモードとスウの愛だけは本物で、他が全部ニセモノ、という展開でした。生い立ちとか、信じる家族とかが全部裏切ります。えらい学者だと思ってたブライア城の城主の伯父さんが、ただのエロ本マニアで、膨大な蔵書が全部エロ本。そしてモードはエロ小説を美女が朗読という老人のマニアックな趣味に付き合わされてたり…化けの皮がはがれるのを楽しみにしたらいいんでしょうかね?

だから4つ星は第1部だけの価値になります。かなり追い詰められた状況になるんで、痛快な局面打開を見たかったんですけどね。第3部なんてVS紳士の大まとめシーンでなんかゴチャゴチャしてるうちに紳士が刺されて終わったり。

シメはエロ小説家になってしまったモードのところへスウが訪れ、
「なんて書いてあるの?」
「わたしがあなたにしてほしいことよ。来て…」
となって終わりです。


第1部が本当に良かった。盛り上がって盛り下がって、最後に盛り上がる、そのままバッドエンドで問題なかった。これが2004年のNO.1ミステリーというのは、どうかな、という気はします。「マリア様がみてる」とか流行ってたみたいですからねー。読んでないけれども。

全体に、そーいう禁忌的な空気は漂ってまして、例えばブライア城の下働き少年チャールズ君(金髪)は紳士に堕とされちゃってるし…。




以上でした。

ところで、なんで海外の小説は「ふざけんな!」「だまれよ、この!」「うっせえ、この売女!」とかの罵りあいをあれほどクローズアップしていくのか、良く分かりません。だって差が無いのにあんな何回も出されても。


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