雑記

親愛なる○○に捧げる

第2回更新しました

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この試作砲の砲撃シーンだが、盛大に砲煙が噴出すのは現時点では無煙火薬は使用されていないからである。最初だし派手にいこうと思った。

ただ、この砲撃シーンのコマ順番はおかしいように見える。まず砲煙が噴出し、その後砲煙を貫くようにマズルファイアと同時に砲弾射出なのである。
この理由について説明する。この火砲は施条(ライフル)のない滑腔砲(スムース・ボア)なのだが、このタイプの火砲の砲弾は砲身にぴったり張り付くものではない。そして、当時の火砲は砲弾は砲身より一回り小さいサイズで作成されていた。砲口内径と砲弾直径に差があるのである。この砲弾と砲身の隙間をウィンデージという。発射前の砲煙はこのウィンデージから噴出したものである。

火砲とは砲身内で火薬を燃焼させ、その爆発エネルギーによって砲弾を遠くへ飛ばすものである。ウィンデージの存在は爆発エネルギーを逃がすことなり、非効率的に思える。ところが、当時の科学ではウィンデージの存在はむしろ実用的で、経済的なものであると考えられていた。1750年ごろのイギリス砲のウィンデージは5パーセント以上もあるという。(ちなみに日本ではこの隙間を「玉透き」と呼ぶ)

英国人たちの言い分は以下の通り。
「ウィンデージは砲手の持つレードル(火薬すくいスプーン)ぐらいの隙間がいい。隙間があれば砲弾を砲口からゴロゴロと流し込め、実用的である。もしウィンデージが小さければ、砲身内でつっかえた砲弾をどう取り除けば良いのか。不十分な体勢のまま発射するしかなく、そうすれば無駄弾を撃ってしまう。また、発射時に砲弾が砲身に触れて磨耗させたり、変形させたりしてしまうではないか。」

火砲と言うものは、またそれを作成する技術は、当時どれほど未完成なものだったのだろうか。